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L10N/Frostcrag_Reborn/3.0.6/Books/frostcragRastieriJournal
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frostcragRastieriJournal
**訳文 [#u6bb968b] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が原文部分と異なり4つづつ。 #pre{{{{ <font face=1><div align="center">Rastieriの手記<br> <br> <br> <br> <div align="left"> 本日、私は私自身の為の堂々たる巨大建築の造営を始めた。White Gold Towerのような、Ayleidたちの手によって建造された巨塔にもひけを取らない立派なものだ。この建築によって私のmage's guildのおける名声は高まりはするだろうが、それが動機というわけではない。多少はそのつもりはあったとしても、少なくとも名声を得る事だけが目的なのではない。<br> 私は長らくguildのはみ出し者だった。私が専攻していた神秘学は多くの魔術師から異端視・危険視されていた。それ故に、この塔の完成を通して彼らからの信頼と敬意を勝ち取りたいと思っている。そしてこの人里離れた場所に自らのguild支部を立ち上げ、Cyrodiilの俗世間に煩わされず、神秘学の研究だけに集中出来るようにしたい。また、凡庸な支部にするつもりもない。大学での基礎課程を修了した理解に優れた生徒だけに門戸を開き、古代のAyleid達が使用した伝承上の魔術を教授する場としたい。生徒は最初は私の息子だけだろうが、他にも多くの生徒が来てくれる事を願っている。<br> <br> <br> 主塔が完成した!息子と作業員数名に手伝ってもらったが、主要な部分は私と息子Rindseyが魔法を用いて造り上げた。これを目にした者なら誰もが驚くに違いない。塔の突端は雲に届かんばかりで威容と威厳を誇っている。私達二人は、この塔をFrostcragと名付ける事にした。<br> <br> 東棟と西棟、さらに東西各々の塔も完成した。まさに圧巻だ。これから巨大なKelnarath竜像をここの守護神として設置する予定だ。像の大きさは塔と同程度になるだろう。<br> <br> <br> 目論見通り、mage's guildは私の塔の話題で持ちきりだ。それも単なる称賛を越えて、絶賛の域にまで達している。塔は常識外れな威風を放っており、相当遠くからでも視認出来る。Arch-mageも私が良き指導者になるであろうとの見極めが出来次第、すぐにでも支部の開設を許可すると言い、また優秀な生徒を上から5人選んでここで学ばせる事に同意してくれた。彼らと私の息子はすぐに友人同士となった。彼らは既に凡人ならば逃げ出すような領域にまで研究の歩を進めている。きっとAyleidの時代以来不世出の強大な魔術師へと成長してくれるだろう。課程が修了次第、Arch-mageは直々に彼らを評価し、結果として私の仕事ぶりも評価されるだろう。成功は保証されたようなものだ!<br> <br> <br> 息子のRindseyは驚くほど優秀だ。学習速度も並はずれており、父である私を越える日も近いと思う。ところで、Rindseyと他の生徒達がAyleidによって書かれた死霊術の書から、とある公式を発見したとの事だ。今の所これを用いる事で何が可能になるのかは不明だが、彼らは既にいくつかの失われた秘法を蘇らせたらしい。また、Rindseyは所謂lichの秘儀書の解読において目覚ましい進歩を見せている。これらは危険な物だ。彼らの興味が度を越しているのを当初は心配したが、息子は『あくまでも純粋に学問のためだ』と言う。だから私は信じよう。息子も他の生徒達も根は優しい性格なのだ。危険な研究に没頭し過ぎるなどという事はあるまい。そもそもAyleidの秘儀書は大変価値のある物であり、そこから全く新しい魔術研究の成果を得ている。mage's guildは愚か者ばかりで私達を大っぴらに非難する声もあるが、なあに、きっと彼らもすぐに神秘学の真髄を学ばなかったのを後悔する事になるであろう。<br><br> <br> <br> <br> 何という事だ!!息子と仲間達が揃いも揃ってlichの儀式を行うなどとは…。見つけてすぐに止めさせたが、まずい事にこの儀式は呪文を唱えた者に恐ろしい呪いをもたらす。あの子には二度とするなと厳しく言い付けた。息子は反省し、二度と同じ過ちは犯さないと約束してくれたが、それでも不安は拭えないままだ。息子の言い分では詠唱は不完全だったので、身体に変化をもたらすほど呪文は有効に働かないだろうとの事だった。また、私以上に研究を進めたいのだと不平も言っていた…。lichの儀式を行なう事で死の世界に関する知識を深めたかったのだ、と。確かにその点について、Ayleidの秘儀書の中で何度も言及されているのは私も知っている。だが注意しなければならない。さもなければ気付かぬうちに災厄に見舞われてしまうだろう。<br> <br> <br> <br> 最も恐れていた事態が現実となってしまった!!Rindseyが…Rindseyが…ああ!これ以上は口に出して言えない!あの子も、他の生徒達も全員醜い怪物へと変貌してしまった。今やわが家には6体のlichが居着いている。これが災厄と言わずしてなんと言う?彼らは皆私の信頼を裏切ったのだ…幸いにも女生徒達はまだ何も知らないようだが。どうやら息子達の儀式は不完全に終わったらしい。しかしそれでもなお、彼らの内に邪悪な力が蓄積されているのを感じる。肉体の変化が始まってからもう数ヵ月は経った。決断するなら今しかない。変化はゆっくりと進んでいる。彼らの肉体は温度を失い、目の輝きも失われつつある。最初のうちはただの杞憂だろうとたかを括っていたが、すぐにlich特有の変化、魔力の爆発的な上昇が見て取れた。直接問いただしてみたが、息子は否定しなかった。それも邪悪な…微笑みを浮かべながらだ。もはやあれは私の息子などではない!あれは残虐行為にも荷担した!もはや私の息子は死んだのだ!私は自らの傲慢さが呪わしい!私は息子から逃げたのだ!直接話をする事さえも恐ろしかった。だがあれは邪悪な者なのだ。邪悪な…。息子を蝕む呪いは精神にまで及んだ。あれは今でも東塔にいて、lichでなければ作れないような武具一式を揃え、新たに得た力を弄んでいる事だろう。私はあれを倒さねばならぬ。それは分かっている。だが…私には出来ない!恐らく出来たとしても、全員閉じ込める程度が関の山だ。このFrostcragを建てる前にあの秘儀書を見つけた地下の奥底へと…。諸悪の根源を、今一度元の場所へと還すのだ。行動は迅速に為さねばならない。女生徒達が危ない!出来る事は何でもしなければ!とにかく急がねばならぬ!<br> <br> <br> <br> 戦いが終わった。危うく私自身、命を落とす所だった。息子も仲間達もみな手強く、私はもう力尽きた…。今も彼らが防壁を破ろうと試みているのが分かる。私が行動を起こした時には既に手遅れだった。戦いの為には準備が不可欠だった。だが準備に要した時間のせいで女生徒達を救えなかった。息子は…いや、息子などではない!あの醜悪な怪物は自らの邪悪な意志の命じるままに、自分の婚約者を生贄に捧げたのだ!あのような残虐な振舞いなど、私は想像だに出来なかった。そして怒りに震えた。あの怪物達は完全に滅ぼさねばならぬ。だが、それでも私は恐れている。私が生きている間はまだいい。警戒の目を絶やさねば良いのだ。だが私の死後は防壁を守れない。彼らが力を合わせれば一たまりも無いだろう。彼らの力は私を凌駕している。知識面では私に一日の長があった。それでもと不意打ちを駆使しなければ勝利は得られなかった。彼らは息子に率いられ、何の躊躇いもなく私を殺そうとした。だが親とは弱いものだ…。そんな状況でも、息子の変わり果てた姿を目の当たりにしてもなお、あの子を滅ぼすのは私には無理だった。<br> <br> <br> この日記を無くしてから、随分と時が流れた。ここに記されていない期間については懺悔を込めて別の回顧録に書き残した。かつて抱いた夢について綴った、ただそれだけの物だが。当代の一般の魔術師達は正しかったと言えよう。私はただの、危険で奇矯で未熟な半端者でしかなかった。私は自らの傲慢さゆえに息子と生徒達を失った。私は知識とは、どんな知識であれ重要なものであると信じていた。その考えは今でも変わらない。ああ、変わっていない。だが、危険過ぎる知識も中には存在する。そしてそれらはどれほど貴重な知識であれ、絶対に人が知ってはならないものなのだ。息子は今でも監獄の壁に向かって呪いの言葉を吐き続けている。だが私にはあの子を滅ぼす事など出来なかった。恐れもある。次に戦った時、どちらが勝利するか、確信を持てない。息子に倒され、不死の下僕として蘇生されるかも知れない。いずれにせよ、息子とその同輩達は今でも生きている。…lichの生を『生きている』と言えればの話ではあるが…。私は知識を駆使して強力な魔法を作り上げてきた。安物の宝石いじりに血道を上げているような格下の凡庸な魔術師であれば想像もつかないような魔法をだ。しかしこれも私の傲慢なのだろう。語る事それ自体が傲慢だ。無知な者は無知ゆえに幸福なのかも知れない。私は力も知恵も備え、誰も見た事も想像した事も無いような物を創り上げてきたが、その末路は惨めなものだった。<br> Frostcragも、かつて私が抱いた夢も、時代と共に忘れ去られるのだろう。時の流れの前では私の愚行など塵に等しい。だが、願わくばこの塵にも、一片の祝福がもたらされる事を願わずにいられない。<br><br> <br> }}}} #pre{{{{ <font face=1><div align="center">Rastieriの手記<br> <br> <br> <br> <div align="left"> 本日、私は私自身の為の堂々たる巨大建築の造営を始めた。White Gold Towerのような、Ayleidたちの手によって建造された巨塔にもひけを取らない立派なものだ。この建築によって私のmage's guildのおける名声は高まりはするだろうが、それが動機というわけではない。多少はそのつもりはあったとしても、少なくとも名声を得る事だけが目的なのではない。<br> 私は長らくguildのはみ出し者だった。私が専攻していた神秘学は多くの魔術師から異端視・危険視されていた。それ故に、この塔の完成を通して彼らからの信頼と敬意を勝ち取りたいと思っている。そしてこの人里離れた場所に自らのGuildの支部を立ち上げ、Cyrodiilの俗世間に煩わされず、神秘学の研究だけに集中出来るようにしたい。また、凡庸な支部にするつもりもない。大学での基礎課程を修了した理解に優れた生徒だけに門戸を開き、古代のAyleid達が使用した伝承上の魔術を教授する場としたい。生徒は最初は私の息子だけだろうが、他にも多くの生徒が来てくれる事を願っている。<br> <br> <br> 主塔が完成した!息子と作業員数名に手伝ってもらったが、主要な部分は私と息子Rindseyが魔法を用いて造り上げた。これを目にした者なら誰もが驚くに違いない。塔の突端は雲に届かんばかりで威容と威厳を誇っている。私達二人は、この塔をFrostcragと名付ける事にした。<br> <br> 東棟と西棟、さらに東西各々の塔も完成した。まさに圧巻だ。これから巨大なKelnarath竜像をここの守護神として設置する予定だ。像の大きさは塔と同程度になるだろう。<br> <br> <br> 目論見通り、Mages Guildは私の塔の話題で持ちきりだ。それも単なる称賛を越えて、絶賛の域にまで達している。塔は常識外れな威風を放っており、相当遠くからでも視認出来る。Arch-mageも私が良き指導者になるであろうとの見極めが出来次第、すぐにでも支部の開設を許可すると言い、また優秀な生徒を上から5人選んでここで学ばせる事に同意してくれた。彼らと私の息子はすぐに友人同士となった。彼らは既に凡人ならば逃げ出すような領域にまで研究の歩を進めている。きっとAyleidの時代以来不世出の、強大な魔術師へと成長してくれるだろう。課程が修了次第、Arch-mageは直々に彼らを評価する。結果として私の仕事ぶりも評価されるだろう。成功は保証されたようなものだ!<br> <br> <br> 息子のRindseyは驚くほど優秀だ。学習速度も並はずれており、父である私を越える日も近いと思う。ところで、Rindseyと他の生徒達がAyleidによって書かれた死霊術の書から、とある公式を発見したとの事だ。今の所これを用いる事で何が可能になるのかは不明だが、彼らは既にいくつかの失われた秘法を蘇らせたらしい。また、Rindseyは所謂lichの秘儀書の解読において目覚ましい進歩を見せている。これらは危険な物だ。彼らの興味が度を越しているのを当初は心配したが、息子は『あくまでも純粋に学問のためだ』と言う。だから私は信じよう。息子も他の生徒達も根は優しい性格なのだ。危険な研究に没頭し過ぎるなどという事はあるまい。そもそもAyleidの秘儀書は大変価値のある物であり、そこから全く新しい魔術研究の成果を得ている。mage's guildは愚か者ばかりで私達を大っぴらに非難する声もあるが、なあに、きっと彼らもすぐに神秘学の真髄を学ばなかったのを後悔する事になるであろう。<br><br> <br> <br> <br> 何という事だ!!息子と仲間達が揃いも揃ってlichの儀式を行うなどとは…。見つけてすぐに止めさせたが、まずい事にこの儀式は呪文を唱えた者に恐ろしい呪いをもたらす。あの子には二度とするなと厳しく言い付けた。息子は反省し、二度と同じ過ちは犯さないと約束してくれたが、それでも不安は拭えないままだ。息子の言い分では詠唱は不完全だったので、身体に変化をもたらすほど呪文は有効に働かないだろうとの事だった。また、私以上に研究を進めたいのだと不平も言っていた…。lichの儀式を行なう事で死の世界に関する知識を深めたかったのだ、と。確かにその点について、Ayleidの秘儀書の中で何度も言及されているのは私も知っている。だが注意しなければならない。さもなければ気付かぬうちに災厄に見舞われてしまうだろう。<br> <br> <br> <br> 最も恐れていた事態が現実となってしまった!!Rindseyが…Rindseyが…ああ!これ以上は口に出して言えない!あの子も、他の生徒達も全員醜い怪物へと変貌してしまった。今やわが家には6体のlichが居着いている。これが災厄と言わずしてなんと言う?彼らは皆私の信頼を裏切ったのだ…幸いにも女生徒達はまだ何も知らないようだが。どうやら息子達の儀式は不完全に終わったらしい。しかしそれでもなお、彼らの内に邪悪な力が蓄積されているのを感じる。肉体の変化が始まってからもう数ヵ月は経った。決断するなら今しかない。変化はゆっくりと進んでいる。彼らの肉体は温度を失い、目の輝きも失われつつある。最初のうちはただの杞憂だろうとたかを括っていたが、すぐにlich特有の変化、魔力の爆発的な上昇が見て取れた。直接問いただしてみたが、息子は否定しなかった。それも邪悪な…微笑みを浮かべながらだ。もはやあれは私の息子などではない!あれは残虐行為にも荷担した!もはや私の息子は死んだのだ!私は自らの傲慢さが呪わしい!私は息子から逃げたのだ!直接話をする事さえも恐ろしかった。だがあれは邪悪な者なのだ。邪悪な…。息子を蝕む呪いは精神にまで及んだ。あれは今でも東塔にいて、lichでなければ作れないような武具一式を揃え、新たに得た力を弄んでいる事だろう。私はあれを倒さねばならぬ。それは分かっている。だが…私には出来ない!恐らく出来たとしても、全員閉じ込める程度が関の山だ。このFrostcragを建てる前にあの秘儀書を見つけた地下の奥底へと…。諸悪の根源を、今一度元の場所へと還すのだ。行動は迅速に為さねばならない。女生徒達が危ない!出来る事は何でもしなければ!とにかく急がねばならぬ!<br> <br> <br> <br> 戦いが終わった。危うく私自身、命を落とす所だった。息子も仲間達もみな手強く、私はもう力尽きた…。今も彼らが防壁を破ろうと試みているのが分かる。私が行動を起こした時には既に手遅れだった。戦いの為には準備が不可欠だった。だが準備に要した時間のせいで女生徒達を救えなかった。息子は…いや、息子などではない!あの醜悪な怪物は自らの邪悪な意志の命じるままに、自分の婚約者を生贄に捧げたのだ!あのような残虐な振舞いなど、私は想像だに出来なかった。そして怒りに震えた。あの怪物達は完全に滅ぼさねばならぬ。だが、それでも私は恐れている。私が生きている間はまだいい。警戒の目を絶やさねば良いのだ。だが私の死後は防壁を守れない。彼らが力を合わせれば一たまりも無いだろう。彼らの力は私を凌駕している。知識面では私に一日の長があった。それでもと不意打ちを駆使しなければ勝利は得られなかった。彼らは息子に率いられ、何の躊躇いもなく私を殺そうとした。だが親とは弱いものだ…。そんな状況でも、息子の変わり果てた姿を目の当たりにしてもなお、あの子を滅ぼすのは私には無理だった。<br> <br> <br> この日記を無くしてから、随分と時が流れた。ここに記されていない期間については懺悔を込めて別の回顧録に書き残した。かつて抱いた夢について綴った、ただそれだけの物だが。当代の一般の魔術師達は正しかったと言えよう。私はただの、危険で奇矯で未熟な半端者でしかなかった。私は自らの傲慢さゆえに息子と生徒達を失った。私は知識とは、どんな知識であれ重要なものであると信じていた。その考えは今でも変わらない。ああ、変わっていない。だが、危険過ぎる知識も中には存在する。そしてそれらはどれほど貴重な知識であれ、絶対に人が知ってはならないものなのだ。息子は今でも監獄の壁に向かって呪いの言葉を吐き続けている。だが私にはあの子を滅ぼす事など出来なかった。恐れもある。次に戦った時、どちらが勝利するか、確信を持てない。息子に倒され、不死の下僕として蘇生されるかも知れない。いずれにせよ、息子とその同輩達は今でも生きている。…lichの生を『生きている』と言えればの話ではあるが…。私は知識を駆使して強力な魔法を作り上げてきた。安物の宝石いじりに血道を上げているような格下の凡庸な魔術師であれば想像もつかないような魔法をだ。しかしこれも私の傲慢なのだろう。語る事それ自体が傲慢だ。無知な者は無知ゆえに幸福なのかも知れない。私は力も知恵も備え、誰も見た事も想像した事も無いような物を創り上げてきたが、その末路は惨めなものだった。<br> Frostcragも、かつて私が抱いた夢も、時代と共に忘れ去られるのだろう。時の流れの前では私の愚行など塵に等しい。だが、願わくばこの塵にも、一片の祝福がもたらされる事を願わずにいられない。<br><br> <br> }}}}
//=================================== // Format_ver:0.0.2 (2008-12-12) // // 【注意】 // ・本文部分を囲む#pre記述ですが、原文と訳文を囲む中括弧は // 『原文は3つづつ、訳文は4つづつ』 // になっている事に注意して下さい(import出来る形式へのコンバート時の為の工夫)。 // ・新しい訳を行う場合は古い訳の下に同じ書式で加えていくようにして下さい // ・翻訳未完時は、 【訳文記述エリア】 という文字列を残して置いて下さい(プログラム処理用) // //=================================== *本文 [#xe87bf5e] **原文 [#k948c73e] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が3つづつ。 #pre{{{ <font face=1><div align="center">Personal Journal of Rastieri<br> <br> <br> <br> <div align="left"> Today I begin construction of my grand edifice. A structure so magnificent as to rival the great tower of the Ayleid's, the White Gold tower, as it is sometimes known. It will bring me much acclaim with the mage's guild, but that is not why I am building it, or at least not only why.<br> I have long been an outcast, choosing to study parts of the arcane lore that most mage's deem eccentric, and dangerous. With the completion of this tower, I hope to gain credibility and respect. Enough to start my own chapter of the guild up here in the cold solitude, where the mundane people of Cyrodil will never come, and contemplation of the arcane will be paramount. It won't be a typical chapterhouse, by no means. I plan on making it the only place a mage will wish to come after finishing the basic courses at the university. A place for advanced students only. Where the true lore of magic, as known by the Ayleid's of the ancient past, will be taught. My son will be the first student, I'm hoping many more will follow.<br> <br> <br> The main tower is complete! With the aid of my son, and a few workmen, but most importantly the magic my son Rindsey and I possess, we have completed a wonder to behold. It stands nearly as high as the clouds, in its majesty and might. We have named it Frostcrag.<br> <br> Both the western and eastern wings of the tower, and their towers have been completed. It is truly magnificent. We are planning on creating a gigantic statue of the dragon Kelnarath to stand as a guardian to the structure. He will be nearly as tall as the towers themselves. <br> <br> <br> As hoped, my tower has created quite a stir amongst the mage's guild. I have been receiving not only praise, but accolades. The tower illicit's strong emotion as it can be seen from very far. The Arch-mage himself has agreed to open it as a chapterhouse as soon as he has satisfied himself that I will be a good teacher. He has allowed five of his most advanced students to come and continue their education here. They and my son have become fast friends. Already they delve where others have feared to tread. They will all be the most powerful mage's to be seen since Ayleid times. After the completion of their education the Arch-mage will evaluate them personally to satisfy himself that I am capable of the Job. Success is almost assured!<br> <br> <br> Rindsey has outdone himself. He is learning so fast, he will soon outpace his father. He and the other students have discovered a formula written in the Ayleid texts for the Spell of the Dead. We are not exactly sure at this time what it can do, but they are already beginning to unlock some of this lost arts secrets. He is also beginning to make great progress with the lich-tomes as we have come to call them. At first I worried he had gained too much interest in such a dangerous subject, but he has assured me his interest is purely academic. I trust him. He and the other students are good at heart, and will not delve to deeply in something so dangerous. The Ayleid tomes are of great worth, and we have learned whole new fields of magic by investigating them. The mage's guild is filled with fools, some of which openly spurn us, but soon they will see the mistake in not learning from the true masters of the arcane.<br><br> <br> <br> <br> Disaster!! I caught my son and the other boys practicing the rituals of the lich. To even utter the words out loud is to call the worst curse upon the speaker. I warned him not to do so again. He seemed properly contrite, and promised me he wouldn't make the mistake again. I am still worried. He said he had not spoken enough to enact the spell of transformation, claiming greater knowledge of the field then I. He said he was investigating the connection to the lich ritual with the world of the dead we read so much about in the Ayleid tomes. We must be careful, else disaster could strike us unawares.<br> <br> <br> <br> My worst fears have come true!!! Rindsey, has..... I can't say it. He has become an abomination. Him as well as the other students. There are six lich's in my home. It is a disaster. They have all chosen to betray the trust I put in them. The girls don't know yet. It seems they haven't fully completed the ritual. But I can sense their fell power. It has been months since the transformation started. It is only now that I have had the courage to face it. The change was slow, a cooling of the flesh, and look in their eyes. At first I thought it was my imagination, but soon my son's magical reserves by merit of the change from human to lich began to grow astronomically. I could sense the greater amount of magicka within him. When I confronted him, he didn't deny it. He smiled at me. An evil smile. He isn't my son anymore. He has committed atrocity. My son is dead!!! Curse me for a prideful fool! I ran from him. To frightened to even speak. He is evil, evil! The curse has tainted his very soul. He is even now in the eastern tower, playing with his newfound abilities. Creating a set of armor that only a lich could create. I know I must destroy him. But I cannot! Perhaps I will lock them all away. In the Deepness where I discovered the tomes before building Frostcrag. It is fitting that the evil that was discovered there, be banished there once again. But I must act quickly and without delay. I believe the girls are in grave danger! Whatever is to be done, must be done quickly.<br> <br> <br> <br> It is done. The fight nearly destroyed me. He and the other boys have grown very powerful indeed. I am exhausted. I sense their magical powers probing constantly against the barriers I erected. Disaster struck before I could act. It was necessary that I prepare for the battle, and what a battle it was. But my delay has cost the women their lives. My son, NO! That abomination sacrificed his own fiance to the evil growing within him. They all did! Such a heinous act I can not ever recall being committed. My anger at their act bids me to destroy them outright. But I fear that battle. Unfortunately the Deepness will hold them only as long as I live, for it is only my constant vigilance that keeps the barriers from being swept aside by their combined might. For they are stronger then me. My greater knowledge and the surprise of my attack was the only reason I survived the confrontation. They had no qualms trying to destroy me, my own son led their attack. Even though I in my weakness could not destroy him even in his corrupted state.<br> <br> <br> I lost this Journal and have not written in it for what seems like ages. In fact I started other memoirs to compensate. I found it behind my desk. The concerns, the dreams I once had. It is all no more. The other mage's of my time were correct. I was a dangerous eccentric, dabbling in things I did not fully comprehend. My son and the other students, paid for my pride. I believed that all knowledge was precious. And it is. It is. But some knowledge is too dangerous, and no matter how precious it is, should not be known. My son rails against his prison walls even now, for I cannot bring myself to destroy him. Or maybe it is fear. I am not sure who would be the victor in a battle between us. I fear that he would raise me up as an undead slave should I be killed in that battle. Either way, he and his cohorts yet live, if lichdom can be called life. I have created powerful spells with the knowledge I have gained, things unimagined by the petty mage's squabbling for baubles below me. But this is still my pride, my insatiable pride speaking. For though they are ignorant, they are blissful in their ignorance. While I, powerful, knowledgeable, creator of things unheard and undreamt, am miserable. <br> Frostcrag and the dreams it once held will be forgotten in time. And my folly will be as dust, grateful dust.<br><br> <br> }}} **訳文 [#u6bb968b] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が原文部分と異なり4つづつ。 #pre{{{{ <font face=1><div align="center">Rastieriの手記<br> <br> <br> <br> <div align="left"> 本日、私は私自身の為の堂々たる巨大建築の造営を始めた。White Gold Towerのような、Ayleidたちの手によって建造された巨塔にもひけを取らない立派なものだ。この建築によって私のmage's guildのおける名声は高まりはするだろうが、それが動機というわけではない。多少はそのつもりはあったとしても、少なくとも名声を得る事だけが目的なのではない。<br> 私は長らくguildのはみ出し者だった。私が専攻していた神秘学は多くの魔術師から異端視・危険視されていた。それ故に、この塔の完成を通して彼らからの信頼と敬意を勝ち取りたいと思っている。そしてこの人里離れた場所に自らのguild支部を立ち上げ、Cyrodiilの俗世間に煩わされず、神秘学の研究だけに集中出来るようにしたい。また、凡庸な支部にするつもりもない。大学での基礎課程を修了した理解に優れた生徒だけに門戸を開き、古代のAyleid達が使用した伝承上の魔術を教授する場としたい。生徒は最初は私の息子だけだろうが、他にも多くの生徒が来てくれる事を願っている。<br> <br> <br> 主塔が完成した!息子と作業員数名に手伝ってもらったが、主要な部分は私と息子Rindseyが魔法を用いて造り上げた。これを目にした者なら誰もが驚くに違いない。塔の突端は雲に届かんばかりで威容と威厳を誇っている。私達二人は、この塔をFrostcragと名付ける事にした。<br> <br> 東棟と西棟、さらに東西各々の塔も完成した。まさに圧巻だ。これから巨大なKelnarath竜像をここの守護神として設置する予定だ。像の大きさは塔と同程度になるだろう。<br> <br> <br> 目論見通り、mage's guildは私の塔の話題で持ちきりだ。それも単なる称賛を越えて、絶賛の域にまで達している。塔は常識外れな威風を放っており、相当遠くからでも視認出来る。Arch-mageも私が良き指導者になるであろうとの見極めが出来次第、すぐにでも支部の開設を許可すると言い、また優秀な生徒を上から5人選んでここで学ばせる事に同意してくれた。彼らと私の息子はすぐに友人同士となった。彼らは既に凡人ならば逃げ出すような領域にまで研究の歩を進めている。きっとAyleidの時代以来不世出の強大な魔術師へと成長してくれるだろう。課程が修了次第、Arch-mageは直々に彼らを評価し、結果として私の仕事ぶりも評価されるだろう。成功は保証されたようなものだ!<br> <br> <br> 息子のRindseyは驚くほど優秀だ。学習速度も並はずれており、父である私を越える日も近いと思う。ところで、Rindseyと他の生徒達がAyleidによって書かれた死霊術の書から、とある公式を発見したとの事だ。今の所これを用いる事で何が可能になるのかは不明だが、彼らは既にいくつかの失われた秘法を蘇らせたらしい。また、Rindseyは所謂lichの秘儀書の解読において目覚ましい進歩を見せている。これらは危険な物だ。彼らの興味が度を越しているのを当初は心配したが、息子は『あくまでも純粋に学問のためだ』と言う。だから私は信じよう。息子も他の生徒達も根は優しい性格なのだ。危険な研究に没頭し過ぎるなどという事はあるまい。そもそもAyleidの秘儀書は大変価値のある物であり、そこから全く新しい魔術研究の成果を得ている。mage's guildは愚か者ばかりで私達を大っぴらに非難する声もあるが、なあに、きっと彼らもすぐに神秘学の真髄を学ばなかったのを後悔する事になるであろう。<br><br> <br> <br> <br> 何という事だ!!息子と仲間達が揃いも揃ってlichの儀式を行うなどとは…。見つけてすぐに止めさせたが、まずい事にこの儀式は呪文を唱えた者に恐ろしい呪いをもたらす。あの子には二度とするなと厳しく言い付けた。息子は反省し、二度と同じ過ちは犯さないと約束してくれたが、それでも不安は拭えないままだ。息子の言い分では詠唱は不完全だったので、身体に変化をもたらすほど呪文は有効に働かないだろうとの事だった。また、私以上に研究を進めたいのだと不平も言っていた…。lichの儀式を行なう事で死の世界に関する知識を深めたかったのだ、と。確かにその点について、Ayleidの秘儀書の中で何度も言及されているのは私も知っている。だが注意しなければならない。さもなければ気付かぬうちに災厄に見舞われてしまうだろう。<br> <br> <br> <br> 最も恐れていた事態が現実となってしまった!!Rindseyが…Rindseyが…ああ!これ以上は口に出して言えない!あの子も、他の生徒達も全員醜い怪物へと変貌してしまった。今やわが家には6体のlichが居着いている。これが災厄と言わずしてなんと言う?彼らは皆私の信頼を裏切ったのだ…幸いにも女生徒達はまだ何も知らないようだが。どうやら息子達の儀式は不完全に終わったらしい。しかしそれでもなお、彼らの内に邪悪な力が蓄積されているのを感じる。肉体の変化が始まってからもう数ヵ月は経った。決断するなら今しかない。変化はゆっくりと進んでいる。彼らの肉体は温度を失い、目の輝きも失われつつある。最初のうちはただの杞憂だろうとたかを括っていたが、すぐにlich特有の変化、魔力の爆発的な上昇が見て取れた。直接問いただしてみたが、息子は否定しなかった。それも邪悪な…微笑みを浮かべながらだ。もはやあれは私の息子などではない!あれは残虐行為にも荷担した!もはや私の息子は死んだのだ!私は自らの傲慢さが呪わしい!私は息子から逃げたのだ!直接話をする事さえも恐ろしかった。だがあれは邪悪な者なのだ。邪悪な…。息子を蝕む呪いは精神にまで及んだ。あれは今でも東塔にいて、lichでなければ作れないような武具一式を揃え、新たに得た力を弄んでいる事だろう。私はあれを倒さねばならぬ。それは分かっている。だが…私には出来ない!恐らく出来たとしても、全員閉じ込める程度が関の山だ。このFrostcragを建てる前にあの秘儀書を見つけた地下の奥底へと…。諸悪の根源を、今一度元の場所へと還すのだ。行動は迅速に為さねばならない。女生徒達が危ない!出来る事は何でもしなければ!とにかく急がねばならぬ!<br> <br> <br> <br> 戦いが終わった。危うく私自身、命を落とす所だった。息子も仲間達もみな手強く、私はもう力尽きた…。今も彼らが防壁を破ろうと試みているのが分かる。私が行動を起こした時には既に手遅れだった。戦いの為には準備が不可欠だった。だが準備に要した時間のせいで女生徒達を救えなかった。息子は…いや、息子などではない!あの醜悪な怪物は自らの邪悪な意志の命じるままに、自分の婚約者を生贄に捧げたのだ!あのような残虐な振舞いなど、私は想像だに出来なかった。そして怒りに震えた。あの怪物達は完全に滅ぼさねばならぬ。だが、それでも私は恐れている。私が生きている間はまだいい。警戒の目を絶やさねば良いのだ。だが私の死後は防壁を守れない。彼らが力を合わせれば一たまりも無いだろう。彼らの力は私を凌駕している。知識面では私に一日の長があった。それでもと不意打ちを駆使しなければ勝利は得られなかった。彼らは息子に率いられ、何の躊躇いもなく私を殺そうとした。だが親とは弱いものだ…。そんな状況でも、息子の変わり果てた姿を目の当たりにしてもなお、あの子を滅ぼすのは私には無理だった。<br> <br> <br> この日記を無くしてから、随分と時が流れた。ここに記されていない期間については懺悔を込めて別の回顧録に書き残した。かつて抱いた夢について綴った、ただそれだけの物だが。当代の一般の魔術師達は正しかったと言えよう。私はただの、危険で奇矯で未熟な半端者でしかなかった。私は自らの傲慢さゆえに息子と生徒達を失った。私は知識とは、どんな知識であれ重要なものであると信じていた。その考えは今でも変わらない。ああ、変わっていない。だが、危険過ぎる知識も中には存在する。そしてそれらはどれほど貴重な知識であれ、絶対に人が知ってはならないものなのだ。息子は今でも監獄の壁に向かって呪いの言葉を吐き続けている。だが私にはあの子を滅ぼす事など出来なかった。恐れもある。次に戦った時、どちらが勝利するか、確信を持てない。息子に倒され、不死の下僕として蘇生されるかも知れない。いずれにせよ、息子とその同輩達は今でも生きている。…lichの生を『生きている』と言えればの話ではあるが…。私は知識を駆使して強力な魔法を作り上げてきた。安物の宝石いじりに血道を上げているような格下の凡庸な魔術師であれば想像もつかないような魔法をだ。しかしこれも私の傲慢なのだろう。語る事それ自体が傲慢だ。無知な者は無知ゆえに幸福なのかも知れない。私は力も知恵も備え、誰も見た事も想像した事も無いような物を創り上げてきたが、その末路は惨めなものだった。<br> Frostcragも、かつて私が抱いた夢も、時代と共に忘れ去られるのだろう。時の流れの前では私の愚行など塵に等しい。だが、願わくばこの塵にも、一片の祝福がもたらされる事を願わずにいられない。<br><br> <br> }}}} #pre{{{{ <font face=1><div align="center">Rastieriの手記<br> <br> <br> <br> <div align="left"> 本日、私は私自身の為の堂々たる巨大建築の造営を始めた。White Gold Towerのような、Ayleidたちの手によって建造された巨塔にもひけを取らない立派なものだ。この建築によって私のmage's guildのおける名声は高まりはするだろうが、それが動機というわけではない。多少はそのつもりはあったとしても、少なくとも名声を得る事だけが目的なのではない。<br> 私は長らくguildのはみ出し者だった。私が専攻していた神秘学は多くの魔術師から異端視・危険視されていた。それ故に、この塔の完成を通して彼らからの信頼と敬意を勝ち取りたいと思っている。そしてこの人里離れた場所に自らのGuildの支部を立ち上げ、Cyrodiilの俗世間に煩わされず、神秘学の研究だけに集中出来るようにしたい。また、凡庸な支部にするつもりもない。大学での基礎課程を修了した理解に優れた生徒だけに門戸を開き、古代のAyleid達が使用した伝承上の魔術を教授する場としたい。生徒は最初は私の息子だけだろうが、他にも多くの生徒が来てくれる事を願っている。<br> <br> <br> 主塔が完成した!息子と作業員数名に手伝ってもらったが、主要な部分は私と息子Rindseyが魔法を用いて造り上げた。これを目にした者なら誰もが驚くに違いない。塔の突端は雲に届かんばかりで威容と威厳を誇っている。私達二人は、この塔をFrostcragと名付ける事にした。<br> <br> 東棟と西棟、さらに東西各々の塔も完成した。まさに圧巻だ。これから巨大なKelnarath竜像をここの守護神として設置する予定だ。像の大きさは塔と同程度になるだろう。<br> <br> <br> 目論見通り、Mages Guildは私の塔の話題で持ちきりだ。それも単なる称賛を越えて、絶賛の域にまで達している。塔は常識外れな威風を放っており、相当遠くからでも視認出来る。Arch-mageも私が良き指導者になるであろうとの見極めが出来次第、すぐにでも支部の開設を許可すると言い、また優秀な生徒を上から5人選んでここで学ばせる事に同意してくれた。彼らと私の息子はすぐに友人同士となった。彼らは既に凡人ならば逃げ出すような領域にまで研究の歩を進めている。きっとAyleidの時代以来不世出の、強大な魔術師へと成長してくれるだろう。課程が修了次第、Arch-mageは直々に彼らを評価する。結果として私の仕事ぶりも評価されるだろう。成功は保証されたようなものだ!<br> <br> <br> 息子のRindseyは驚くほど優秀だ。学習速度も並はずれており、父である私を越える日も近いと思う。ところで、Rindseyと他の生徒達がAyleidによって書かれた死霊術の書から、とある公式を発見したとの事だ。今の所これを用いる事で何が可能になるのかは不明だが、彼らは既にいくつかの失われた秘法を蘇らせたらしい。また、Rindseyは所謂lichの秘儀書の解読において目覚ましい進歩を見せている。これらは危険な物だ。彼らの興味が度を越しているのを当初は心配したが、息子は『あくまでも純粋に学問のためだ』と言う。だから私は信じよう。息子も他の生徒達も根は優しい性格なのだ。危険な研究に没頭し過ぎるなどという事はあるまい。そもそもAyleidの秘儀書は大変価値のある物であり、そこから全く新しい魔術研究の成果を得ている。mage's guildは愚か者ばかりで私達を大っぴらに非難する声もあるが、なあに、きっと彼らもすぐに神秘学の真髄を学ばなかったのを後悔する事になるであろう。<br><br> <br> <br> <br> 何という事だ!!息子と仲間達が揃いも揃ってlichの儀式を行うなどとは…。見つけてすぐに止めさせたが、まずい事にこの儀式は呪文を唱えた者に恐ろしい呪いをもたらす。あの子には二度とするなと厳しく言い付けた。息子は反省し、二度と同じ過ちは犯さないと約束してくれたが、それでも不安は拭えないままだ。息子の言い分では詠唱は不完全だったので、身体に変化をもたらすほど呪文は有効に働かないだろうとの事だった。また、私以上に研究を進めたいのだと不平も言っていた…。lichの儀式を行なう事で死の世界に関する知識を深めたかったのだ、と。確かにその点について、Ayleidの秘儀書の中で何度も言及されているのは私も知っている。だが注意しなければならない。さもなければ気付かぬうちに災厄に見舞われてしまうだろう。<br> <br> <br> <br> 最も恐れていた事態が現実となってしまった!!Rindseyが…Rindseyが…ああ!これ以上は口に出して言えない!あの子も、他の生徒達も全員醜い怪物へと変貌してしまった。今やわが家には6体のlichが居着いている。これが災厄と言わずしてなんと言う?彼らは皆私の信頼を裏切ったのだ…幸いにも女生徒達はまだ何も知らないようだが。どうやら息子達の儀式は不完全に終わったらしい。しかしそれでもなお、彼らの内に邪悪な力が蓄積されているのを感じる。肉体の変化が始まってからもう数ヵ月は経った。決断するなら今しかない。変化はゆっくりと進んでいる。彼らの肉体は温度を失い、目の輝きも失われつつある。最初のうちはただの杞憂だろうとたかを括っていたが、すぐにlich特有の変化、魔力の爆発的な上昇が見て取れた。直接問いただしてみたが、息子は否定しなかった。それも邪悪な…微笑みを浮かべながらだ。もはやあれは私の息子などではない!あれは残虐行為にも荷担した!もはや私の息子は死んだのだ!私は自らの傲慢さが呪わしい!私は息子から逃げたのだ!直接話をする事さえも恐ろしかった。だがあれは邪悪な者なのだ。邪悪な…。息子を蝕む呪いは精神にまで及んだ。あれは今でも東塔にいて、lichでなければ作れないような武具一式を揃え、新たに得た力を弄んでいる事だろう。私はあれを倒さねばならぬ。それは分かっている。だが…私には出来ない!恐らく出来たとしても、全員閉じ込める程度が関の山だ。このFrostcragを建てる前にあの秘儀書を見つけた地下の奥底へと…。諸悪の根源を、今一度元の場所へと還すのだ。行動は迅速に為さねばならない。女生徒達が危ない!出来る事は何でもしなければ!とにかく急がねばならぬ!<br> <br> <br> <br> 戦いが終わった。危うく私自身、命を落とす所だった。息子も仲間達もみな手強く、私はもう力尽きた…。今も彼らが防壁を破ろうと試みているのが分かる。私が行動を起こした時には既に手遅れだった。戦いの為には準備が不可欠だった。だが準備に要した時間のせいで女生徒達を救えなかった。息子は…いや、息子などではない!あの醜悪な怪物は自らの邪悪な意志の命じるままに、自分の婚約者を生贄に捧げたのだ!あのような残虐な振舞いなど、私は想像だに出来なかった。そして怒りに震えた。あの怪物達は完全に滅ぼさねばならぬ。だが、それでも私は恐れている。私が生きている間はまだいい。警戒の目を絶やさねば良いのだ。だが私の死後は防壁を守れない。彼らが力を合わせれば一たまりも無いだろう。彼らの力は私を凌駕している。知識面では私に一日の長があった。それでもと不意打ちを駆使しなければ勝利は得られなかった。彼らは息子に率いられ、何の躊躇いもなく私を殺そうとした。だが親とは弱いものだ…。そんな状況でも、息子の変わり果てた姿を目の当たりにしてもなお、あの子を滅ぼすのは私には無理だった。<br> <br> <br> この日記を無くしてから、随分と時が流れた。ここに記されていない期間については懺悔を込めて別の回顧録に書き残した。かつて抱いた夢について綴った、ただそれだけの物だが。当代の一般の魔術師達は正しかったと言えよう。私はただの、危険で奇矯で未熟な半端者でしかなかった。私は自らの傲慢さゆえに息子と生徒達を失った。私は知識とは、どんな知識であれ重要なものであると信じていた。その考えは今でも変わらない。ああ、変わっていない。だが、危険過ぎる知識も中には存在する。そしてそれらはどれほど貴重な知識であれ、絶対に人が知ってはならないものなのだ。息子は今でも監獄の壁に向かって呪いの言葉を吐き続けている。だが私にはあの子を滅ぼす事など出来なかった。恐れもある。次に戦った時、どちらが勝利するか、確信を持てない。息子に倒され、不死の下僕として蘇生されるかも知れない。いずれにせよ、息子とその同輩達は今でも生きている。…lichの生を『生きている』と言えればの話ではあるが…。私は知識を駆使して強力な魔法を作り上げてきた。安物の宝石いじりに血道を上げているような格下の凡庸な魔術師であれば想像もつかないような魔法をだ。しかしこれも私の傲慢なのだろう。語る事それ自体が傲慢だ。無知な者は無知ゆえに幸福なのかも知れない。私は力も知恵も備え、誰も見た事も想像した事も無いような物を創り上げてきたが、その末路は惨めなものだった。<br> Frostcragも、かつて私が抱いた夢も、時代と共に忘れ去られるのだろう。時の流れの前では私の愚行など塵に等しい。だが、願わくばこの塵にも、一片の祝福がもたらされる事を願わずにいられない。<br><br> <br> }}}}
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